「瑞枝」が再び陽の目を見て

2023-03-24

「瑞枝」が再び陽の目を見て

ぼくの若い時の詩集「瑞枝」が、再び日本で出版されることを、実にうれしく思っている。事実、ぼくの詩は、復刻に価いするかどうか、自分にはわからない。ただ、一人の異邦人が、日本語で詩を書き、十歳から現在七十六歳まで書きつづけている。このことに未練をもっている。

ぼくは若いころ、日本詩界の高村光太郎、木下杢太郎、中川一政、井伏鱒二の各位に、身にあまる好意をうけてきた。ぼくの「瑞枝」のなかには、これら先行者たちの序文、序詩、塑像が、また影響が、さんぜんと輝いている。

ぼくは人生の浮沈をつぶさに味わってきたが、詩はつねにぼくの道連れであった。それはいつも勇気を与えてくれ、愉悦に導いてくれた。ぼくにして、詩があったればこそ、生きぬいてこられたような気がするが、ぼくは、そのうえに、良い友人に恵まれたことに就いても、はっきりとここに書き記しておかねばならない。

ぼくは今、一人の中国大陸の山中人である。しかし多くの青年たちにとりかこまれて、とても忙がしい。それに近い将来、未刊の作品をまとめて上梓したいと念願している。

この詩集を出版するために友情をかたむけてくれた日本の友人たちに、ふかい感謝をささげる。謝々。

一九八二年重慶市四川外語学院にて