令和日本の中国文化受容(杉浦幹享)

2026-07-08

令和日本の中国文化受容(杉浦幹享)

 日本に帰国するたびに、街に中国文化が浸透している様子を目にする。

大都市の市街地には蜜雪や楊國福のチェーン店があり、若い日本人女性たちが列をなして並んでいる。商店街でテナントを募集している空き店舗には「〇〇麻辣烫 近日開店予定 新規スタッフ募集」という看板が掲げられている。こうした中国資本のチェーン店には中国人留学生などが働いていることが多い。

 実感としてここ10年ほどで新しい中国文化の流入が一気に進んだ気がする。

これまでの流れを説明すると、最初に2000年代以降の韓流ブームで流行に敏感な若年層が文化的に近い東アジアのポップカルチャーを受容し、そこから2005年代以降に香港や台湾などの文化が「華流」として定着した。2008年の北京オリンピック以降には中国本土の文化が注目を集めはじめ、2010年代以降になると雑誌売り場の「韓流」コーナーの隣に「華流」のコーナーが目立つようになった。

2020年代の今、おおむね今の日本のZ世代の若年層は、同世代の中国人若年層と同じ文化背景のもとで生まれ育っているので、互いにより親近感があることと思う。日本の若年層も韓流アイドルが好きだし、華流ドラマを視聴するし、「原神」や「崩壊スターレイル」に夢中なのである。

90年代や2000年代のように、ある国が文化発信地で、別のある国が文化受容地としてそれを受け入れる図式が成り立った時代は終わりを告げ、令和日本では完全に双方向的な東アジア文化交流圏が確立している。

書店でも「華流コーナー」が定番といっていいほど設けられており、現代中国文学が定着している。名古屋の書店では「華流コーナー」に「原書」すなわち中国語の書籍が並ぶようになり、第二外国語などで中国語を学んだ中国語学習者がそれを購入するような状況が現れた。これは個人的に驚くべき出来事だった。

思い出せば2017年では中国語書籍を手に入れるには神保町の中国語書籍専門店に行って、かなり高額な日本価格の本を買うしかなかったのであるが、最近は街の書店でも原書が手に入るようになった。

とくに最近は「中華BLコーナー」が人気であり、書店員が原書を精密に分析して書いたであろうポップ(店頭の棚に張り付ける商品の説明書き)が、その作品の魅力について熱心かつ能弁に解説している。こうした現象はごく最近見られるようになったもので、今後の動向が気になる。

书店书架图生成.png