白痴

2026-10-15

白痴


白痴は今日も空を眺めてた

白痴はこの青やかな雨上りの幸福を知ってるらしい

この夏の青葉をすかした朝風に

豊満な二つの乳房をあらはしては

駄菓子や前でちつと空を見る

そのほつそりした眼をほつそりとし

そのアフリカ象の皮膚の色も気にかけず

半裸体のまゝで空を見る

青やかな青やかな空を見る

あゝ白痴、彼女は十八九

たとへ人生のよろこびを知らない乍らも

駄菓子やの前で

青い巴杏子をかぢり乍ら

大きな大きな自然に眺めいる

まはりの児らすべて赤いりんごにたとへ

彼の女、今日も街上の天文学者

白痴かなしくも

青やかな青やかな空を見る。