作品八十三番
夜のごう/\とする音をきく
ベツトの上に浮遊しない重力のある物体
何がさてこいつに悲しい心象を与へたのか?
わからないん?
ではなくして暗い世界
そしてやたらに昇る夏の青葉の青つぽい匂ひ
オレはフキルムの思ひ出をたのしぶ
そして云ふことを青葉の中へばらまく
『何と云つても………だ!』
人生をしらずに人生をはかなむ
その度毎に面白いん
ぐり/\した勇しい心象も一寸はみ出してくるん
ごう/\する都会の夜の物音もするん
きゝ耳立てるといやにしんみりしてる
いろ/\の首をぶちこはしては一つの首につくり上げる
百合の花の香こいい部屋
鳩時計への耳
重心を忘れると眼が云ふことをきかなくなり
どんづまりオレも浮遊してく