窓を打つ氷雨

2024-11-25

窓を打つ氷雨

窓を打つ氷雨

さびしい冬

冴えた眼でかなしい影絵を見てる

水仙の葉は水つぽくて青い

灯がにじんでる部屋

悲しみたいが、まとまらない

女の帰つた後の寒さ

疲れた心象で何をか意欲する

よせてかへした冷淡が今ほてつてくる

さあ/\、何処までさみしくなる、かなしくなる

ぶる/\ふるへる犬のやうな胴ぶるひ

消えて行つたやうな人を呼ばうかしら

一九三○年の寒い風の窓

重量を忘れてしよんぼりしてるオレ

カアテンをしばれば小さな世界

つくねんとした灯にぽつちり暖かい気もちを所有する

今まで考へなかつた事で虚空をつかむ

冴えた眼で悲しい影絵を見乍ら泣きつ面をする

泣ければいゝのに

泣けない泣きつ面をしてる