ベットの中で

2024-12-31

ベットの中で

 

一、いまは夜の十時、ねつかれない時

二、にくしみの心を捨てよと云ふ母の手紙を思ひ出した

三、叫びたいがオレには口がない

四、しばらくの苦味だ! 涙を止めろ!

五、どうと秩父颪(ちちぶおろし)が行くな

六、碌でもない人々が硝子窓を過ぎ去て行く

七、詩心は初めからない、この思ひは奔馬のやうだ

八、包布と毛布の中で天邪鬼様がふるへてゐる

九、苦しめ! これが力だ! 意思の爆発だ!

十、どんな悪魔の前でも笑はなければいけないのか?

一、今がそして若い男の愉快な人生だと云ふのか?

二、にげるなよ! 但し眼をつぶれば天国がみえる

三、さわがしかつた太陽の一日がこんな寒いベトで

四、しばらくは冴えた眼で御ざい

五、ごめん蒙らう! 、泣き笑ひの眼も心も