五・六月の夜

2025-04-15

ベットの上、南から来たしま馬だ

五月十八日、仲々ねむれない

この横つ面をなぐるのは月夜の硝子棒で

明日はどうせ富士の裾野の中に動作する

きつとあの青緑の中へ飛びこめば

日頃の()()()()まで忘れはてる

第一、あの原つぱの驟雨((しゆうう))                  

第二、あの原つぱの広さ                   

第三、夜中の雷、稲妻!

、考へるほどオレはねむられない!                                                

夜中の貨物列車が今通つた                  

ガアフン/\/\

空に、灌木の上に明るさを上げて……

 

オレは大きく寝がへりをうつたが

まだあの顔をこはすことが出来ない

月が落ちた空をちく/\させるものがある

FunFun

夜明けの雨の尖兵、青葉の匂ひ!

電線にかつてる月は横すべりする

お山は五合目までまつ白い

オレは風に吹かれてる

オレは少しばかりぬれてる

クローバの花の気配が気狂ひのやうにやつてきた

もう一枚シヤツをぬげば半裸体になるが

実際この思服さへもぬぎ捨てたくはない

もしも今夜野末に赤い照明弾が上るならば

今夜こそこの一点心を新羅三郎に向けたいものだ

オレがあの足柄山の風流事に正対するのは

オレ自身の一線を見透すことになるからだ!

兵隊が全員目下瞑目中だから

急にオレも鋭い森のシルウエツトに恐しさを感じる!

 

【驟雨】

にわか雨

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