夜明けのパラ/\雨

2024-12-15

夜明けのパラ/\雨

どこかには

パラ/\雨を気にする 海月 クラゲのやうな女もゐるだらう

「春の周転」への雨は

オレの窓から夜ふけのオリオンを想像させる

机には白いカアネエション

雨の音は全身をちく/\

風のすぎ去つた方向にオレは

森かげの養鶏場のあの光つた (いたち)除けの青い貝殻を見た!

だまってペンを走らしてると鶏の声

あけ方近いので

パラ/\雨はオレのところを遠のいたらしい

(明日は花がそろ/\ (つぼみ)を開くであらう?)

十枚の手紙を書き終へたオレの心と鼻よ!

お前はとても香り高い花の匂ひを意識した

よし!それぢゃ、ねよう

武蔵野のばけもの、オレの部屋の電気を消すぞ!

パラ/\雨が

戻つて来ない中に

硝子窓がクリーム色になつたり、すゝりなきしないうちに

ワアツ!ワアツ!オレの首は足の先きだ!

あの女への思慕

うん、また雨が戻りやがつたな!

(パラ/\雨はあの女にも春の (よそお)ひを教へるであらう?)