嘉陵講壇若手教員学術能力向上特別講座(六)認知翻訳学の理論と実践――新文科と認知言語学に基づいて

2022-10-03

嘉陵講壇若手教員学術能力向上特別講座(六)

認知翻訳学の理論と実践――新文科と認知言語学に基づいて

 

 2022927日午後230分から、党委員会教師工作部(教師発展センター)、翻訳学院、科研処が共催する若手教員学術能力向上特別講座()――「認知翻訳学の理論と実践――新文科と認知言語学に基づいて」が、立徳楼C216で開催された。翻訳学院院長の李金樹教授による司会のもと、認知言語学専門委員会会長・中国認知翻訳研究会顧問・博士指導教員である王寅教授は60名余りの教員と学生に講演を行った。  

 

 

 

 王教授は新文科の発想から、国内外の言語学専攻大学院生の教育に共通する三つの重大な欠陥に対する解決策を以下のように提起した。 

一、「西洋哲学史」を手がかりに、各時期に現れた言語学と翻訳学の流派を系統的に整理すること。

二、最先端のポストモダニズム哲学と認知言語学(CL)を組み合わせて、わが国独自の認知言語学(ECL)と認知翻訳学の構築を試みること。

三、認知言語学の基本的考え方を他の関連分野に応用し、学問の体系を構築すること。

 

 

 その後、王教授は西洋哲学と、「翻訳はコミュニケーションなり」という新しい翻訳の考えに基づいて、翻訳理論に対する哲学の重要性を強調した。そして認知翻訳学が認知哲学を土台とするものとして、哲学の立場から言語学を研究すべきだとの認識を示した。

 続いて王教授は、ポストモダニズム哲学、認知科学、認知翻訳学略史、認知翻訳学の理論的由来、ECLの主要原則に基づく認知翻訳理論、認知翻訳学の臨時定義などの面から、ポストモダニズム哲学に立脚する認知翻訳学を順序だてて解説した。その間、『紅楼夢』にある成語や俗語の英訳を引き合いに出して分かりやすく説明した。

 

 

 

 最後に、王教授は次のように指摘した。新文科の主旨は学際の境界を越えてともに前進することだとすれば、認知言語学と認知翻訳学はまさに学際的学問の好例である。ECLは、言語の背後に潜む認知メカニズムを、言語現象を通して解明するもので、その主要原則である「事実─認知─言語」は翻訳研究にも適用されるため、翻訳は言語レベルの活動だけではなく、その背後の「認知」と「事実」も検討する必要がある。そこで、翻訳現象や事実を解釈するためには、翻訳学と言語学の連携を強化し、認知翻訳学を構築べきである、という。

 

 司会の李教授は今回の講演を「合理的、実証的、学際的、情熱的、進歩的」と評価したうえ、王教授の唱えた方法論をよくかみしめて、本学の新文科構築に助力するよう、聴衆の教員と学生に希望を述べた。