「外国人ですが、他人ではありません」――ボランティアとして山火事の消火活動に参加した本学ベトナム人教師グエン・スアン・ディエン先生

2022-09-12

「外国人ですが、他人ではありません」――ボランティアとして山火事の消火活動に参加した本学ベトナム人教師グエン・スアン・ディエン先生

 

2022821日夜、重慶市北碚区虎頭山で山火事が発生し、その後も延焼し続けた。全国から集まった多くの人々の努力により、26日の朝、ようやく消し止められた。

山火事に立ち向かうボランティア。北碚の山火事が猛威を振るう中、バイク運転が得意なグエン先生は、バイクを借りて物資輸送に加わろうとしたが、役に立つダートバイクが見つからず、家で見守るしかなかった。25日夜、火が徐々に消し止められた後、再燃を防ぐのが急務となった。そこで、ボランティア部隊が集まった。山火事の状況を見守っていた阮先生は心配のあまり、26日早朝、他のボランティアと共に山に登り、燃え残りの消火やゴミ拾いなどの作業に参加した。

険しい道をひたすら前進。現場にたどりつくまでの道のりは二つの部分に分けられる。前半は道路と幅の比較的広い山道。物資や道具を背負ったグエン先生などの一行はバイクに乗せてもらった。後半は幅の狭い山道で、歩くしかなかった。険しい山道に重い物資と酷暑のため、グエン先生に熱中症の症状が現れた。それでも体の不調に耐え、遅れないように登り続けた。

どんなに些細な事でも、まじめにやる。道路脇に並んだ使用済みの消火器は、数日にわたる消火活動の厳しさを物語っている。あとは残り火を消し、再燃を防ぐ段階に移るのであった。消防士の指導を受けつつ、グエン先生は残り火の状況を調べたり、赤く燃える木炭をひとつ残らず土のなかに埋めたりした。

 耐えがたき炎天下の灼熱や砂塵の中での息苦しさ、険しい山道での転倒など、ボランティア活動の苦労をものともしなかったグエン先生は「実際には、あまり役に立ちませんでしたが、居ても立ってもいられず、行く事にしました。それが私の責任だと思ったからです」と話した。現にボランティア活動中に、グエン先生はその責任を果たすべく、いつも忙しく動きまわっていたのである。

 グエン先生は2009年、重慶に来てから、今年まで13年間もここに暮らしている。今ではここで家庭も持っている。授業の中で熱心に教えるグエン先生は、日常生活でも前向きで楽観的な人物である。その名前に春を意味するベトナム語があるように、彼の言動はいつも暖かい春を感じさせるものである。重慶で13年間も生活しているグエン先生は、家族を愛するように、この町に対して深い愛着の念を持っている。「外国人ですが、他人ではありません。13年間暮らしたこの町を愛しています。私の最愛の家族もここにいます」と彼が言っている。

 グエン先生と重慶の深い縁は、まさに隣接する中国・ベトナム両国の長年にわたる友好関係の現れであり、両国間の平和・交流・信頼を物語るものである。

 本学は一貫して「海百川を納れ、学中外を貫く」という精神の下、専門知識と道徳の両方から、学生教育を実施している。今回、ベトナム語専攻のグエン先生は自らのボランティア活動を通じて、本学の教育理念を実践したと共に、他の教職員や学生にも模範を示したのである。

古人曰く「単は折れ易く、衆はひしぎ難し」。今日の世界に目を向けると、中国とベトナムの友好関係や、瀾滄江・メコン川協力、そして「一帯一路」などで見られるように、世界各国は人類の運命共同体であり、友好・団結そして共同発展こそ、大勢の赴くところである。天災は情け容赦もないが、人間は愛を持つ。この度の山火事においても、外国人であるグエン先生は赤の他人ではなかった。人類文明の進歩と世界平和の維持をはかるうえで、我々はみな永遠に家族同士のようなものではないか。