川外書院・「翻訳求真」学術講壇の第二講――覃江華:翻訳と中国近現代言説の生成

2022-07-27

川外書院「翻訳求真」学術講壇の第二講

――覃江華:翻訳と中国近現代言説の生成

 

2022615日午前10時、華中農業大学外国語院院長の覃江華教授は、本学科研処の招きにより、「翻訳と中国近現代言説の生成――哲学者謝無量の翻訳活動を例に」と題するテーマで講演を行った。同講演は本学科研処胡安江処長が司会を務めた。講演前に、胡安江処長は覃江華教授に歓迎の意を表し、翻訳学と哲学等の分野における覃教授の業績を紹介した。  

 


   

 

 講演の冒頭、覃教授は清末民初の時代背景と学問の発展状況を説明した上で、激動する当時の時勢が政治・経済・文化の大転換をもたらす中、翻訳の台頭が新たな知識生産の可能性をつくったと指摘した。次に、定期刊行物の創刊、訳書の出版、新式教材の編訳と言説の再構築との関係から論述を展開し、翻訳ジャーナルが知識の生産、保存、流通を引き受ける重要な媒体だと指摘した。

20世紀の学術発展の歴史を振り返ると、思潮の変化に際して、主導的役割を果たしたのはいつも特定のジャーナルだったと見て取れる。また、謝無量研究は彼の訳した『憲法学研究概論』に重点を置くべきである。それは我が国における最初の外国法律文献の抜粋訳であり、学術史において重要な意義を持っている。

 教材の編訳は当時では、「西洋学著書」「海外中国学の著書」「古典的著書」の編訳に分けられていたと覃教授が言う。謝の編訳によって、西洋の知識は中国に入り、ローカルな知識は世界に広まった。そして彼は批判的翻訳で古今東西の知識を融合させるシステムを構築した。同時に、中国の伝統的思想に対する彼の体系的要約と全く新しい解釈は、従来の経学・理学を現代の哲学・歴史学への変貌を遂げさせた。


 


 

 講演後、覃教授はオンラインで聴講の教員・学生らと意見交換を行い、学生たちが関心を持つ翻訳研究の問題意識と研究対象の選定等について入念に回答した。最後に胡処長はコメントの中で微に入り細を穿つ覃教授の講演をまとめたうえ、翻訳研究の難しい点と先人のあまりタッチしなかった点にターゲットを絞り込み、オリジナルな角度から研究を進めるよう、学生にアドバイスを与えた。