「景星講壇」第五回の講演及び重慶市日本語専攻院生教育座談会

2023-05-17

「景星講壇」第五回の講演及び重慶市日本語専攻院生教育座談会

 

  202338日午後230分から、麗らかな春日和の中、本学日本語学院は西キャンパス「立徳楼」の日本文化体験室で「景星講壇」第五回の講演及び重慶市日本語専攻院生教育座談会を行った。今年で初となる日本語学院主催の対面型学術シンポジウムである。 

 講師は、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科及びグローバル地域文化学部教授の銭鷗先生である。司会は本学日本学研究所所長楊偉先生である。西南大学や重慶大学、重慶師範大学等、中国日本語教学研究会重慶分会の参加校からの教員と、陳可冉副院長をはじめ、本学日本語学部の教員・学生、併せて60人近くが受講した。 

 

  

 講演のテーマは「断層での交流——1917年前後の羅振玉と内藤湖南」である。銭教授はまず羅振玉と王国維に関する先行研究を紹介し、晩年における二人の政治関与・交友関係についての研究がまだ不十分だと指摘した。つまり、同時代の日本人学者と二人の関係を考察する際、学問の世界ばかりを重視し、当時の社会情勢に関する彼らの見方をさほど取り上げていない、ということである。次いで、銭教授は多くの史料に基づき、羅・王による日本渡航の詳細をまとめ、そして政治理念における羅・内藤の相違を論じた。つまり、お互いが相違の存在を認識しつつも、なお学術上の交流に花を咲かせた、という。

 講演の中で、銭教授は自らの手がけている内藤文庫の調査研究に言及し、あらかじめ結論を立てたり、特定のテーマを過度に単純化したりせず、根気よく資料に物を言わせるべきだと自身の研究態度を述べた。講演の結びに、資料の調べ方や講演中使われていた資料の細部について、受講者と銭教授の間でやりとりが行われた。

 

 

 講演後の座談会では、まず銭教授が日本における学術交流のやり方を紹介した。特定のテーマを研究するための同好会や、大学内部の小規模な研究会等があるという。続いて、重慶各大学の日本語専攻の責任者・教員代表もそれぞれの学術交流状況を紹介した。そして、日本語専門大学院教育に関する議論の中では、養成の目標・方向・手段・過程及びカリキュラムの設定、資料の整理等の面から各参加校の責任者が発言した後、銭教授も自身の経験に基づいて所見を述べた。

午後535分にすべての議題を終えて、「景星講壇」第五回の講演並び重慶市日本語専攻院生教育座談会は成功裏に幕を閉じた。

 

 

 日本語学院主催の今回の講演・座談会は、北京日本文化センターと中国日本語教学研究会重慶分会のご支援・ご協力を得ている。